ドローンは「空を飛ぶ」ものですから、安全管理とリスク対策はとても重要です。一見するとハードルが高そうに感じますが、基本的な考え方と準備をしっかり押さえておけば大きく難しくはありません。
以下のポイントを参考に、運用体制を整えてみてください。
目次
リスクを「見える化」する
なぜ必要?
- ドローンの事故は「風に流されて衝突」「機体トラブルで墜落」など、発生時には大きな被害や賠償責任が伴う可能性があります。
- どんなリスクがあるのかを明確に把握することで、対策が取りやすくなります。
具体策
- 想定されるリスクを書き出す
- 墜落・衝突・強風・GPS喪失・バッテリー切れ…
- 発生確率と影響度で分類する
- 発生頻度が高いが被害が小さいリスク
- 発生頻度は低いが被害が大きいリスク
- 対策の優先度を決める
- 影響が大きいものから重点的に対策を行う。
事前点検・フライト計画
事前点検(Pre-flight Check)
- 機体やバッテリーの状態チェック
- バッテリー残量・劣化状況、プロペラの緩み、機体にヒビや汚れはないか
- ファームウェア更新・キャリブレーション
- 最新バージョンでないとGPSや障害物センサーの精度が低下する恐れがある
- 操作端末や送信機の確認
- スマホやタブレットの充電、アプリのバージョンも確認する
フライト計画(Flight Planning)
- 飛行禁止エリアや注意エリアの確認
- 地図アプリや国土交通省のDIPS等で場所を事前に調査
- 天候・風速のチェック
- 風速が強すぎると姿勢制御が難しくなる
- バッテリーのフライト時間シミュレーション
- 復路の分も確保し、途中でバッテリー切れを起こさないようにする
操縦スキルとチーム体制
操縦者(パイロット)のスキル
- 定期的な訓練
- 風の強い日や狭い空間での飛行練習、緊急時の操作練習も取り入れる
- 以下の条件の場合はドローンを飛行させないようにしてください。まず、風速が5メートル毎秒以上の場合は飛行を避けるべきです。また、雨が降っている時や雨が降りそうな場合も飛行は控えましょう。さらに、視界を妨げる雲や霧の中では十分な視程が確保できないため、これらの条件下での飛行は避ける必要があります。
- シミュレーター活用
- いきなり実機でリスクの高い練習をするより、まずはPC上のドローンシミュレーターで感覚をつかむ
チーム運用
- フライト前のダブルチェック体制
- パイロットだけでなく、サポートスタッフが別の視点で安全点検
- 見張り役(スポッター)の設置
- カテゴリーⅡ以上の飛行では、飛行空間の逸脱や第三者立入管理区画の確保で特に重要
- 緊急時の連絡ルート
- 墜落などの事故が起きた場合、誰がどこに連絡するかをチーム全員で把握
緊急時対応マニュアルの整備
具体例
- 機体トラブル・通信途絶時
- リターントゥーホーム機能の設定確認
- 制御不能になったらプロペラの停止操作を行うかどうか
- 墜落事故・衝突事故発生時
- 人身事故であれば、まず119番・110番へ連絡
- その後、保険会社やチーム責任者に報告
- バッテリー発火や水没など機体に関わるアクシデント
- 即座に安全な場所に移動し、二次被害を防ぐ
対応が遅れると被害が拡大する可能性があるため、事前に対応フローを決めておくことで、事態が発生した際にも落ち着いて対応することが可能です。
保険・賠償責任の備え
- 賠償責任保険(第三者賠償)
- 墜落や衝突で他人にケガをさせたり物を壊したときの損害賠償を補償
- 機体保険(動産総合保険)
- 自身のドローンが破損した場合の修理費・買い替え費用を補償
- 傷害保険
- 操縦者やスタッフのケガの補償
保険の未加入は大きなリスクです。事故時の費用や社会的信用を考えれば、十分な補償額のプランを選びましょう。
セキュリティ対策(サイバー&物理)
- 通信の暗号化
- 操縦やデータ転送に使う無線の暗号化設定を適切に行う
- GPS妨害・ジャミング対策
- 操縦やデータ転送に使う無線の暗号化設定を適切に行う
- 盗難・破損対策
- 保管時は必ず施錠された場所で管理
- 移動中にも衝撃を与えないケースを使用
まとめ
- リスクの「見える化」と対策の優先順位付け
- 事前点検と綿密なフライト計
- 操縦者のスキルアップとチーム運用
- 緊急時対応マニュアルの整備
- 賠償リスクに備えた保険加入
- サイバー・物理のセキュリティも考慮
ドローンの安全管理とリスク対策は、いわば「事故を起こさないための準備作業」です。最初は大変に感じるかもしれませんが、一度流れを作り、運用マニュアルを整備してしまえば継続的な点検と改善で十分に安全性を高められます。
「何が起きても慌てない」ために、事前準備とチーム体制の構築をしっかり行いましょう。