ドローンの飛行許可申請は、飛行空域や飛行形態によっては国土交通省への申請と許可取得が必要となるため、はじめての方には「どこから手をつければいいの?」とハードルが高く感じられるかもしれません。実際、必要書類や入力項目が多く、DIPS(ドローン情報基盤システム)の操作も含めて戸惑うことが少なくありません。

ここでは、飛行許可申請の概要や手続きの流れ、よくあるつまずきポイントなどをわかりやすくまとめました。

飛行許可申請が必要になるケース

日本の航空法では、下記のいずれかに該当する飛行を行う場合、国土交通省の許可・承認が必要と定められています(※2023年改正時点)。

  • 人口密集地域(DID地区)上空を飛行する場合
  • 夜間飛行を行う場合
  • 目視外飛行(補助者がいない状態)を行う場合
  • 危険物の輸送や物件投下を行う場合
  • 高さ150m以上の空域を飛行する場合
  • 人や物件との間に30m未満の距離で飛行する場合
  • イベント上空(多数の人が集まる催し)の上空を飛行する場合
  • レベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を行う場合
キジえもん


自身の飛行計画を確認し、機体の重量が100g以上の場合は機体登録が必要です。さらに飛行許可が必要な場合は、DIPSなどを通じて手続きを行う必要があります。

飛行許可申請の大まかな流れ

事前準備

  • 操縦者の資格確認
    • 飛行形態によっては「無人航空機操縦者技能証明(一等・二等)」が必要になります。
    • まずは自分が行う飛行に資格要件があるかどうかを確認しましょう。
  • DIPSアカウントの取得・機体登録
    • 100g以上の機体であれば、必ずドローン情報基盤システム(DIPS)での登録(機体ID取得)が必要です。
    • まだアカウントを持っていない方は、先にアカウント作成・機体登録を済ませておきます。
  • 飛行計画の作成
    • 飛行日時や場所、飛行高度、飛行の目的などを具体的に決めておく必要があります。
    • 人口密集地域かどうか、近隣に飛行制限区域がないかを事前に地図や自治体の情報などで調べましょう。

申請書類・情報の準備

  • 飛行場所や日時、ルートの詳細
    • どこで、いつ、どう飛ばすのかを具体的に示す必要があります。
    • 地図や座標などで範囲を明示する場合もあります。
  • 機体の仕様や性能
    • 登録済みの機体IDのほか、重量や最大速度、安全装置の有無などを記載します。
  • 操縦者の情報・飛行経歴
    • 技能証明の有無、これまでの飛行経験(何時間飛ばしているか、どのような条件下で飛ばした経験があるか)など。
  • 安全対策・運用方法
    • 人や建物、周辺環境への安全対策(飛行エリアの確保、スタッフ配置、保険加入など)
    • 非常時の連絡体制や離着陸場所の管理方法など

DIPSから申請手続き

1
DIPSにログイン

DIPSポータルサイトからログインします。

2
新規申請の作成

• 「飛行許可・承認申請」の画面へ進み、飛行形態・飛行エリアなどを登録していきます。
• 入力項目が多いので、事前に準備した情報を整理しておくとスムーズです。

3
必要書類のアップロード

• 案件によっては、地図やマニュアル、保険証書などをPDF等で添付しなければならない場合があります。

4
申請内容の確認・提出

• 入力内容に誤りがないか十分に確認し、提出します。
• 不備や不足があると差し戻し(修正依頼)が届くため、慎重に確認することが大切です。

審査・許可の取得

1
審査期間

• 通常、書類が整っていれば2~3週間程度で審査結果が出ることが多いですが、繁忙期や申請の集中する時期は長引くことがあります。
• 余裕をもって1か月ほど前には申請しておくのがベターです。

2
修正依頼への対応

• 審査中に追加資料の提出や内容修正が求められる場合があります。
• 早めに修正すれば、許可までの期間を短縮できることもあります。

3
許可証(承認書)の発行

• 無事に審査が通ると、DIPS内で許可証(PDF等)が発行されます。
• ダウンロードして印刷し、飛行時に携帯またはすぐに提示できるようにしておきましょう。

よくあるつまずきポイント

  • 飛行場所の誤り(地図の座標や範囲が不正確)
    • 範囲設定を誤ると修正依頼の対象になります。
    • Googleマップなどを活用し、飛行範囲を正確に示しましょう。
  • 複数の飛行形態が混在している
    • 例:昼間の目視内飛行と夜間飛行をまとめて申請する場合、申請書類や安全対策の説明に抜け漏れがあると修正依頼が出やすいです。
  • 安全対策が不十分
    • 例えば、住宅地の近くで飛行するのに、万が一に備えたスタッフ配置や第三者との距離確保について具体的な記載がない…など。
    • 申請書にはできる限り具体的に、安全措置の方法を書く必要があります。
  • 保険加入の証明や技能証明が未取得
    • 保険証書や技能証明番号を記載し忘れる、あるいはそもそも取得していない状態で申請しようとしてしまうケースがあります。
    • 提出前に必ず確認しましょう。
  • 申請のタイミングが遅い
    • 飛行予定日の直前に申請しても、審査が間に合わないことが多いです。
    • 少なくとも2~3週間前、可能なら1か月以上前に申請するのが安全です。

飛行許可取得後の注意点

  • 許可証の携帯・提示義務
    • 許可取得後は、飛行時に許可証を携帯し、必要に応じて提示できる状態にしておきます。
    • スマートフォンなどにデータを保存しておくのも有効です。
  • 申請内容との差異に注意
    • 申請時と異なる日時・範囲・方法で飛行すると、許可が無効となる場合があります。
    • 計画変更がある場合は、改めて申請内容の修正や追加申請が必要です。
  • 事故やトラブル時の報告
    • 万が一、事故やトラブルが発生した場合、国土交通省や警察等への報告義務があることがあります。
    • 保険会社にも連絡し、対応を確認することが大切です。

どうしても難しいときは?

  • ドローンスクールやコンサルサービスの活用
    • 有料ですが、飛行許可申請を代行・サポートしてくれるスクールや業者、行政書士事務所などがあります。
    • 飛行実績が少ない初心者の方や、大規模イベントで厳しい要件がある場合には検討する価値があります。
  • 問い合わせ窓口に相談
    • DIPS内に問い合わせフォームが用意されており、具体的なエラーや不明点を問い合わせることで解決につながる場合があります。

まとめ

ドローンの飛行許可申請は、飛行形態や飛行場所によって国土交通省への申請・許可取得が必要になり、書類作成やシステム入力がやや複雑ですが・・・

  • 自分がどの飛行形態に当てはまるかを正しく把握
  • DIPSアカウント・機体登録を済ませ、必要書類をそろえる
  • 安全対策を具体的に記載し、早めに審査に出す
平野

この3つをしっかり押さえて進めれば、スムーズに許可を取得することは十分可能です。もし行き詰まったら、公式マニュアルや専門家のサポートを活用し、期限に余裕を持って申請するよう心がけてください。